福島第一原子力発電所における凍土方式遮水壁の造成

摘要

東京電力福島第一原子力発電所では、原子炉/タービン建屋地下室内の放射性物質を含む滞留水が建屋周辺地盤中に漏洩することを防止するため、滞留水位を建屋周辺地下水位よりも低くなるよう管理している。この水封管理により汚染拡大は防止できているものの、水封管理をしているがゆえに建屋周辺の地下水が建屋内に流入している。流入した地下水が滞留水とまじりあい、1日当たり約400m~3の新たな汚染水が発生している。増え続ける汚染水の問題は、福島第一原子力発電所の廃炉を進めていく上で早急に解決すべき大きな課題の一つである。地下水流入抑制対策として、地下水バイパス、建屋近傍のサブドレンによる地下水位管理が計画されているが、2013年5月、国の「汚染水処理対策委員会」は、汚染水対策をさらに重層化することで信頼性を高めることが必要であるとし、地下水流入抑制の抜本対策の一つとして発電プラント全体を取り囲むように配置する凍土方式遮水壁（以下、凍土壁）を設置すべきであると判断した。この判断にもとづき、東京電力·鹿島建設は共同事業者として凍土方式遮水壁造成事業（以下、本事業）を進めている。