海外建設事業における契約のマネジメント

摘要

土木学会建設マネジメント委員会は、2015年3月にODA活用小委員会を設置し、同年6月に中間報告書を取りまとめた。その中で、ODA事業への包括的建設サービス(Wrap-up Construction Service(WCS))方式の導入を提案している(図1)。一般円借款工事においては、他国との過度な価格競争により、日本の技術が活かされないだけでなく、本邦技術活用条件(STEP)が適用された円借款工事においても、工事リスクに対応できないため参加者が現れずに不調となったり、価格が折り合わずに不落となったりしている。無償資金協力の工事においても、遠隔地における単発発注のため不調や不落となったりする問題が発生している。わが国の開発援助にも関わらず、計画通りのコスト、工程で、質の高いインフラ事業の実現ができない問題が発生している。