桜島における火山災害対策

摘要

桜島は鹿児島市街地から3kmの距離にある面積77km~2の火山島である。1914年の大規模噴火(大正噴火)に伴う溶岩流出により大隅半島との間の海峡が溶岩で埋められ、正確には火山島とは言えないが、桜島への主要な交通手段は鹿児島港から15分を要するフェリーであることを考えると依然として火山島と考えてよい。桜島は2万9000年前に究生した始良カルデラの巨大噴火後に形成された若い火山である。北岳を主峰とし、その南に南岳が形成されている。最近5000年間は南岳山頂およびその山腹で噴火が発生している。1955年からは南岳の山頂付近の火口群において噴石と多量の火山灰を放出する爆発的な噴火が繰り返されており、1955年以降の爆発回数は1万4000回に上る。また、噴出物量も多く、2億5000万tの火山灰が放出された。一方、最近550年間には文明(1471～1476年)、安永(1779～1780年)、大正(1914年)の3回の大規模噴火が発生しており、大規模噴火の発生間隔と桜島のマグマだまりがあるとされる始良カルデラの地盤の隆起から考えて、次の大規模噴火の発生は今後30年以内と予想される。