内航海運業界の男女共同参画推進は可能か？～国土交通省による「女性船員の活躍推進に向けた女性の視点による検討会」における結果と分析

摘要

外航，内航を問わず，我が国の経済成長が海運業界に支えられてきたことは周知の事実である.しかし，その海運業界，特に内航海運が今，危機に見舞われている.将来的に，いや，すでに現在，船員不足が深刻な状態になっているのだ.現在，我が国の内航海運は4000社に近い船社がひしめくような形で存在し，船舶数は5000隻を超えている.さらに，それを運航する船員数はおよそ30,000人弱であると考えられるが，隻数を考慮した場合，今の状態では「船員不足」の危機を脱することはできないことが懸念される.海運業における人手不足は現代の日本だけが経験する問題ではなく，1990年代から世界的規模で危惧され始めた問題でもあり，とりわけ欧州では，女性を船員として雇用することで船員不足の危機を乗り切つたという歴史がある.