ピントル型噴射器の基礎燃焼特性に関する研究

摘要

液体ロケットエンジンの燃焼器において，進剤噴射器は燃焼効率，燃焼安定性，壁面への熱負荷などの燃焼特性を支配する重要なコンポーネントである. ンジンで使用する推進剤の種類やエンジンサイクルなどによって，適切な推進剤噴射器が選択されるが，液体水素と液体酸素を推進剤とするLE-5系やLE-7系においては同軸型噴射器が利用されてきた.ロケットエンジンにおいて，推進剤噴射器は高コストなコンポーネントの一つであり，燃焼安定性や燃焼効率を維持しつつ噴射器を低コスト化することが望まれている. 属積層造形などの新たな製造方法により，従来の噴射器をより低コストで製造する技術開発が進められている一方，よりシンプルな構造の噴射器による抜本的な低コスト化も重要なアプローチの一つである.低コスト噴射器の代表として，ピントル型噴射器と呼ばれる噴射器が挙げられる.ピントル型噴射器の開発経緯などはTRW社の報告に詳しいが，アポロ月着陸船のェンジンやSpaceX社のMerlinエンジンなどに利用されている.ピントル型噴射器はその燃焼安定性に着目され，主に推力制御が要求されるエンジンに採用されることが多いが，簡素な構造を活かし，エンジンの低コスト化を図る際に採用されることも多い.