電気電子•絶縁材料分野における量子化学計算の適用調査専門委員会

摘要

電気電子絶縁材料に用いられる高分子材料は，金属や半導体の周期的な結晶構造と異なり，原子の配列を表す化学構造以外に，高分子鎖の配列•配置による階層的な高次構造を持ち，構造的に非常に複雑な様相を示す。そのため，絶縁材料の電子構造をうまく表現することは困難で，図1に示すように材料中の電子の動きと誘電現象との相関関係を理解する上での支障となっていた。近年，量子化学計算の手法の発展とともに，絶縁材料を量子化学計算の手法で理解する研究が広がり，分子レべルで高分子材料中の電子の動きに関して新しい知見が得られつつある。本委員会は，このような絶縁材料分野における量子化学計算の適用状況を調査し，その有用性の評価，および今後の展開を眺望することにより，量子化学計算の利用促進，若手研究者の育成に役立てることを目的として活動を行っている。