再生可能エネルギー大量導入時の各種系統条件が基幹系統の過渡安定度に及ぼす基本的な影響

摘要

過渡安定度とは，電力系統を構成する送電線や母線に落雷などの系統事故による大外乱が加わり系統の状態が変化した場合に，同期発電機（以下，発電機）が同期運転を継続できるか否かを示す度合いである。過渡安定度が損なわれると，発電機が同期はずれを起こす「脱調」現象が発生するおそれがある。太陽光発電(PV: Photovoltaics generation)や風力発電（WT: Wind Turbine generation)に代表される再生可能エネルギー（以下，再エネ）大量導入時においても過渡安定度を維持する必要があるが，再エネ導入形態（導入量や導入地点）や再エネ導入後の電力系統の運用形態（発電機の運転スケジュールなど）といった系統条件は様々であるため，再エネ大量導入が基幹系統の過渡安定度に及ぼす影響は系統条件によって大きく異なる。そこで，電気学会WEST10機系統モデルを用いたY法による電力系統動特性シミュレーション解析（以下，Y法解析）により，再エネ大量導入時の代表的な系統条件が過渡安定度に及ぼす影響を整理するとともに，1つの再エネ導入シナリオ例における過渡安定度を評価した。