パーソンセンタ一ドケアに基づく人間理解誰もがその人らしく暮らすことのできる社会のデザインに向けて

摘要

人間の平均寿命は伸び続け，今後，先進国では半数以上が90歳よりも長生きをするという[1].また，後期高齢者という言葉が示す通り75歳以降の人生の期間が以前にも増して伸ぴている[2].平均寿命が伸ぴ，人間のラィフサイクルが変容する中で，人間の意識や社会の仕組みが追いついていないと言われる.実際，日本社会では高齢化社会を迎える中で，年金財政の破綻や，労働力人口の減少，社会保障負担の増大等，これまでの社会を支えてきた仕組みの行き詰まりが様々に議論されている[3].日本政府は，こうした変化に対する取り組みの一環で1億総活躍社会[4]を掲げ，誰もが包摂され活躍できる社会，それぞれの能力を発揮し，生きがいを感じることができる社会の実現を推進している.このように，多くの人が長く生きることができるようになった社会を迎えるにあたり，我々は高齢化社会における人間の生き方，新しい形で生活領域の仕組みを構築する必要があると考えている.