除染の完了から1年半後における市町村除染地域内の市町村の除染に関する現状認識と課題認識

摘要

福島第一原子力発電所事故の発生によって深刻かつ重大な放射能被害を受けた福島県では、復興の起点かつ基盤としての位置づけのもとに除染が実施されてきたが、市町村除染地域では、福島原発事故の発生から7年後にあたる2018年3月をもって、すべての市町村で完了することになつた。本研究は、福島県内の市町村除染地域を対象として実施したアンケート調査の結果などに基づき、市町村除染地域内の市町村の除染に開する現状認識と課題認識について分析した上で、すべての市町村で除染が完了してから1年半後における除染に関する課題を明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、除染の完了後にも、除染に関する多くの課題が積み残されていることが明らかになった。本研究では、主な課題として、の除去土壌等の中間貯蔵施設への早期搬出と個別条件に応じた仮置場の原状回復と除去土壌等の長期保管·管理のあり方の検討、②新たな法律に基づく環境回復を目的とする森林や河川·水路等の"除染"の実施、③場所の特性に即した総合的な放射線防護措置の一つとしてのフォローアツプ除染の実施を提示した。