「自動車ランプ用耐熱性着色透明膜の作製技術」

摘要

バナジン酸ビスマスのナノ粒子を用いることなく,V(acac)_3,2-EHBiと本目的専用のアルコキシシランのオリゴマーを用いて黄色透明膜を施した自動車用フォグランプを実用化することができた。ナノ粒子を用いた場合,分散工程が必要であり,分散装置に見合う容量の分散液を製造しなければならず,分散装置の洗浄に要する手間も見逃せない。分散液は時間の経過とともに凝集するので,保管にも注意を要する。本技術を用いると工程が短縮でき,必要な量だけナノ粒子を必要とする場で合成することができるのできわめて経済的である。また,ナノ粒子の飛散による汚染の問題もない。専用のアルコキシシランのオリゴマーを合成したこともあり,ランプとの密着性も良好であった。焼成により有機物は分解されているので,耐熱性に優れ,点灯時に膜の剥離も見られなかった。また,このランプはJIS D5500に規定されている淡黄色フォグランプの色度範囲を満足するものであった。