ホール施設における遮音計画: エキスパンシヨンジョイント，乾式防振遮音構造，建物防振の事例

摘要

本稿では，国内及び海外のホール施設における遮音計画の事例を幾つか紹介する。前半の2件では，最近国内にオープンした施設を紹介する。いずれもホール単独の施設ではなく，複数の多目的ホールや練習室を備えた複合文化施設である。1,500〜2，000席規模の多目的ホールでは，クラシックコンサートだけでなく，ポッブスやロックのコンサートも主用途とされることが多く，その究生音量も騒音レベルで100dBを超える大音量（特に低音）になってきている。一方で，敷地条件等の制約から複数のホールをどうしても近接して配置せざるを得ないため，同一施設内の複数のホールで同時利用を可能にするためには，かなり高い遮音性能が必要となり，防振遮音構造の採用だけでは不十分な場合がある。ここでは，その対策として同一施設のなかにエキスパンシヨンジョイント（以下，Exp.J)を設けて遮音性能を高めた事例について紹介する。