地形対応型設計手法からみた斉康の建築設計思想に関する研究

摘要

This thesis is a research on the design method of topography used in KangQI's Architectural Works. In the present study, 22 architectural works were picked up, and six kinds of design method of topography were derived from the analysis of the topography together with the arrangement method, the floor shape, the wall shape, and the roof geometry. Furthermore, it was shown there are two kinds of correspondence methods in KangQI's work, the different design approach and the space and the externals expression correspondence, based on the relationships between these design method and the topography.%1．はじめに1．1研究の背景と目的注1）斉康（1931年～）は現代中国の著名な建築家・建築教育家のひとりである注2）。斉康は1931年10月江蘇省南京市に生まれ、原籍は漸江省杭州市である。1949年8月に当時の中央大学建築学科に入学し、1952年9月の卒業の後、南京工学院の助教となった注3）。大学在学期間中、斉康は中国の第一世代建築家の代表人物一楊廷宝、童俵、劉敦楯たち注4）に師事し、さらに、就職後は彼らと共に南京工学院で働き、多数の建物を設計した注5）。このような経歴から、彼らの設計思想を引き継いだ建築家の一人と考えられる。建築教育者としても、大学の教師になってから現在注6）に至るまで、東南大学注7）に勤務しながら、大連工学院建築学科注8）の設立にも中心的な役割を果たしている。建築設計に関しては、50年代から改革開放にかけて、中国は建設停滞の状態に入り、斉康もその影響を受けて、建築設計の機会に恵まれなかった。70年代末の改革開放から、斉康は多数の建築作品を手掛け、　そのうち、「侵華日軍南京大虐殺遭難同胞記念館」と「五夷山荘」の二作品はそれぞれ「中国八十年代建築芸術優秀作品」の第二位と第　三位に選ばれ注9）、中国現代建築家における代表的な一人と目されるようになった。1993年には中国科学院の院士にも選ばれ注10）1997年にはフランス建築科学院に外国籍の会員としで選ばれており注11）、国際建築界でも知られる建築家のひとりである。