福岡藩における遊興的御茶屋の空間構成と史的展開福岡藩御茶屋に関する研究（3）

摘要

The purpose of this study is to clarify characteristic of o-chaya with character of the amusement in Fukuoka domain. Ochayas is divided into two types by how to use. One was used for public! Hakozaki and Sokoino correspond to this. The other was used for private! Yusentei and Aratoyama correspond to this. The commonness of Hakozaki and Sokoino is to have the view of the superb view. This commonness is the same as private o-chaya and can place it with a characteristic of o-chaya with character of the amusement. These constructions started from in the middle of Edo period.%前稿1）では建設当初の福岡藩御茶屋がA型、B型、C型の3類型に分類できることを指摘し、二日市・姪浜・内野・黒崎は宿泊空間がないA型、赤間・前原・飯塚・木屋瀬・山家・青柳が宿泊空間があるB型、底井野・箱崎を遊興的性格が窺われるC型と位置付けた。ただし、底井野・箱崎は建設当初の姿は分からず、文政5年以降の位置付けで、B型御茶屋よりさらに大規模であった。かつて、A型・B型は平面図を通した詳細な空間の検討を加えている2）が、C型は具体的な空間について考察していない。底井野・箱崎は遊興的要素が含まれると考えられ、その空間的特徴を掴む必要がある。本稿において「遊興的」とは、公的な場合、接客に関する中で饗応に付け加えられた行為を指すこととし、私的な場合、一族内の儀式・行事および家族団欒を指すこととする注1）。さらに、参勤交代・領内巡検・対面は公的行為と捉え、遊猟や一族内の儀礼的な行為を私的行為と捉えたい。底井野は外観の把握される絵馬と絵図が残され、箱崎は平面絵図が2葉残され、空間構成を考察することができる。また、底井野・箱崎御茶屋の使用状況が記載される史料があり、使用方法を分析できる。