建築誌における現代日本住宅作品の建築写真の揭載顺 建築写真の被写対象の属性·葉数·サイズを指標として

摘要

This study aims to clarify the types of composition in the editorial order of the photographs on architectural magazines. To achieve this aim, this study set the focus to 118 columns which is showing Japanese contemporary houses and analyzed these columns with viewing from the character of photograph on each page, the number of photograph and the size of photograph on each page. By these analyses, this study found out 1) 2 types of editorial order meanings that is concerned to the character of photograph on each set of pages, 2) 3 types of editorial order meanings that is concerned to the number of photograph on each set of pages and 3) 2 types of editorial order meanings that is concerned to the size of photograph on each set of pages. As the conclusion of this study, all types that are interpreted by above analyses are integrated to the typical 10 types of composition in the editorial order of the photographs on architectural magazines.%今日ますます建築空間を紹介·説明する情報媒体のヴァリエーションは拡がりをみせるが、いまなお写真を中心に誌面を構成する建築誌は主要な役割を果たしている。この理由のひとつに、建築誌においては読者が誌面のページをめくりながら建築空間を理解するという、他の情報媒体に比して強い時系列性を有している点があると考えられる。つまり建築誌においては、ページ進行が導く情報の掲載順が読者の建築空間の理解に寄与するだけでなく、編集者にとっても当該の建築空間の理解を促す編集作業において主要な課題となる、という特徴を有していると言える。換言すれば、一瞥の下に全容を把握することが困難な建築空間は、空間の体験者の継起的体験のなかから一定の意味を括りとりながら時系列的に理解に至るという特質があり、この時、建築誌に適用される掲載順(時系列)は、この建築空間の特質に触れた表現技法とも捉えられるのである。ところで、こうした時系列性を有した表現技法を扱い、建築空間の伝達媒体を分析·考察した既往研究は、特定の建築家または建築に焦点を当てたものに偏向し、個別の事象の分析に留まっている状況にある。これを踏まえ本研究では、様々な建築の掲載記事を対象に、時系列性を有する表現技法の一つである記事中の建築写真の掲載順に着目し、その類型の抽出と理解を試みる。これにより、建築空間の伝達媒体における情報伝達上の表現技法に関わる論考で得られた既往の知見に、一般性と時系列性という観点が補完され、建築空間がどのように伝達されるのかといった総体的なメカニズムを明らかにするための一助になることが期待される。