本研究は、熊本藩の藩営の御蔵所の空間構成に関して以下のことを明らかにした。御蔵所は、まず主たる御蔵所が御茶屋とともに藩の領内支配上重要な町ゃ豊後街道沿いの要衝に、次に中出し（中継）の役割をもつ御蔵所が上記の御蔵所に関連して増設されていったと考えられた。熊本藩の場合、米俵を屋外（御米山床、御蔵所の庭）でも保管したことが特筆された。御米山床は、藩政前期、御蔵所とともに設けられたが、後期には単独で設けられるようになり、新たな御蔵所を形成していったと考えられた。外部空間が物資の保管場所として用いられる一方で、凡そ藩政後期には御蔵自体も大規模化されていった。藩の休泊施設である御茶屋に隣接した御蔵所では、御茶屋と御蔵所が一体となって外囲いを形成していた。さらに〈川尻〉では御蔵所が3ケ所に分けて設けられたため、御蔵所の内囲いも形成されていた。熊本藩御蔵所は、御蔵が一棟しか設けられない、あるいは複数棟の御蔵があるにも関わらずまとまりに欠けるといった建物配置の型式をもたない御蔵所が多いことが特筆された。前者においては前記した屋外空間の利用や御蔵の大規模化が図られ、後者においては蔵々が屋外に共有空間を必要としなかったことが考えられた。河港における御蔵所は、主たる御蔵が妻側を川へ向けて、背中合わせに構成されるなど、御米山床、庭、御蔵といった物資の保管場所それぞれが船着き場と繋がった空間構成になっていたのである。%The purpose of this study is to clarify the characteristics of spatial structures of Okura-syo owned by the Kumamoto Domain in the Edo Period. The Okura-syo of the Domain was next to Ochaya, Domain's accommodation, or established with the Yard for placing the straw bag of rice. The Yard was an outside storehouse to keep the straw bag of rice collected. In the Kumamoto Domain, many Okura-syo had no building arrangement, and their spatial structures were different from other Okura-syo in the heavy snowfall region in Japan. One of the factors was the availability of the outside storehouse for rice.
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