閘ほぞ込栓打ち接合部のほぞ寸法が接合部における引き抜き曲 げ耐力に及ぼす影響の検討

摘要

In order to investigate the most suitable tenon size of the mortise-tenon joint with pin, we carried out the static horizontal loading tests. The main results obtained from these tests and analytical investigations are as follows. Mortisize-tenon joint thickness of which is 45mm improves the stiffness and strength by about 50% compared with that of using tenon of 30mm thickness. The analytical model shown in Fig. 19 expresses the stiffness and bearing force after yielding point.%伝統構法木造建築物で多く用いられる長ほぞ込栓打ち接合部は，構 造力学的に十分に解明されていない。本報告は，種々の仕様のうち， 1枚ほぞに込栓1本を有する長ほぞ込栓打ち仕様に限定して，引き抜き と曲げモーメントについて実験的に検討し，ほぞの回転中心が変形の 進展とともに移動することを確認し，ほぞの回転を込栓中心とする従 来の解析から，ほぞの回転中心移動を考慮した解析に発展させた。こ れらの実験および解析から，長ほぞ込栓打ち接合部のほぞ寸法が降伏 曲げモーメントや最大曲げモーメントなどの力学特性に及ぼす影響を 明らかにした。伝統的な木組み仕口・接合部などのディテールは，従 来，大工技術の慣習で決定されてきたが，構造力学的に解明したうえ で，これら構造ディテールの設計法を構築することが重要であり，本 報告は，めり込みやほぞの回転中心移動の解析的取り扱いに課題を残 すものの，ほぞ形状を設計する際に有用な知見となる。