寒冷地における集合住宅の冬期室内熱環境とエネルギー消費量に関する事例調査

摘要

本論文は，高断熱高気密が進む戸建住宅に対し性能が劣るとされる集合住宅の現状把握と対策を目的に，秋田県にある次世代省エネ基準を満たす8棟の集合住宅を対象として冬期室内温熱環境とエネルギー消費量の事例調査を行い，次のような結果を得た。温熱環境に閲し，室内上下温度差は小さいものの，室温は，居間と台所など用途および単身者と家族世帯など，住宅の滞在時間の長短などにより差がみられた。これにより室内環境のグレードも，在宅時間と暖房時間が短い場合や局所暖房を採用している住宅ではグレードが低く，家族世帯で暖房時間の長い住宅では高い傾向が見られた。さらに，エアコンを用いた住宅では単位面横当たりの空調エネルギー消費量が少ないものの，室内環境の質にバラツキが大きい傾向になる。そのため，省エネをはかりつつ質を維持する改善が必要であるなど，集合住宅の熟環境改善のための貴重な資料となり得ると思われる。%In cold climatic region, more and more detached houses were getting to be thermally well insulated and less infiltration. On the other hand, quality of indoor thermal environment in apartment houses which would have lower thermal insulation and infiltration than in detached houses is likely to be not good. Measurements were carried out to evaluate indoor thermal environment during winter and energy consumption of eight apartment houses located in Akita Prefecture.