実大4層鉄骨道建物の震動台実験を利用した非線形履歴システム同定法の検証

摘要

本論文では，Bouc－Wenモデルに基づいた非線形履歴システム同定法の実用性を実大4層鉄骨造建物の振動台データを用いて検討している。このBouc－Wenモデルは過去の非線形同定問題でも比較的多く扱われており，その有効性についてもそれぞれ確認されている。2007年度にE－ディフェンスで実施された崩壊実験の結果（崩壊前のレベル鷹取波60％加振）を用いて，建物各層の層せん断カー層間変位の関係を本同定法により検証している。層せん断力における減衰力（粘性減衰）と復元力（履歴減衰）の分離については，今後の課題としているものの計測波形のみを用いた場合には良好な同定結果が得られており，2009年度に実施された制振構造における実験結果に対しても同様の検証を併せて行うことで，構造種別（履歴形状）毎の同定精度の検証やフレームに付加される粘性減衰の分離・抽出にも役立つものと考えられ，今後の損傷同定に関する研究への発展性を示した内容となっている。%The already proposed identification method for nonlinear hysteretic systems is applied to shaking table tests of a full-scale 4-story steel building at the E-Defense. The structure is modeled as a 4DOF nonlinear shear building in each horizontal direction. The nonlinearity in stiffness is expressed as the Bouc-Wen hysteretic model. The identified hysteretic curve is compared to the corresponding experimental result.