津波予想浸水地域における建築物の必要耐力に関する研究

摘要

In this paper, the height and depth of the building in the region expected to tsunami inundation are calculated by compared tsunami load to necessary horizontal load-carrying capacity in the base of the building. In addition, amount of shear walls to reinforce the building and cast-in-place concrete pile to resist tsunami load are calculated. Based on these studies, structural planning flows and examples by using three building models are shown.%本研究は，津波荷重と必要保有水平耐力の比較から，津波荷重に対して抵抗可能な建物の形状要素（高さ?奥行き?壁面開口率）と設計用浸水深の関係をチャート化して整理し，このチャートにより，津波予想浸水地域において，ハザードマップにより設計用浸水深が与えられれば，津波荷重に対して必要保有水平耐力を確保するために必要となる建物の規模の算出が可能としており，津波予想浸水域に建築物を設計する場合の基本設計に大いに役立つ研究である。しかしながら，本研究の津波荷重の評価の基礎となっているのが朝倉等の研究であり，津波液圧が静水圧で近似できる場合のみに有効であり，本研究の適用範囲もこのような状況での建築物の基本設計に限られるが，防潮堤近くの建築物にレベルⅡ津波が作用した場合等の特別なケースを除いて適用可能であると思われる。