景観計画における色彩基準の運用実態: アクセントカラーと裁量型基準に着目して

摘要

本論文は，景観形成基準に色彩基準を設けている396もの地方公共団体を対象として，その現状を分析した上で，各自治体にアンケートやヒアリングを行い，成果をまとめた労作である。マンセル表色系を使用するなどの定量的基準と，数値設定を行わない裁量的基準に分けて整理し，両者の問題点を明らかにした上で，前者における数値の設定方法，後者における判断方法について分析している。また，アクセントカラーにも着目し，その面積割合と設定根拠についても調査している。これらの調査は，興味深いがその労力ゆえに誰もが躊躇するのであるが，果敢に実行されたことに敬意を表する。著者の述べているとおり，基準の見直しあるいは新たに策定を模索している団体にとっては非常に有用である一方，住民にとっても色彩基準を評価する上で重要な報告である。今後は，価値ある調査データの更なる分析を行い，新しい学術的知見を公表されることを期待する。%The Landscape Act was established and improvement orders could be given on color and design. Local governments now need to establish objective and distinct standard. But the discretionary standard such as "the harmony with the neighborhood" as well as the quantitative standard are used in official landscape plan. Besides, accent color as well as base color is prescribed. So this paper deals with the color standard of buildings. How to set numerical value of the quantitative standard of base colors and area of accent color is clarified. In addition, how to judge conformity on discretionary standard is also elucidated.