長野県安曇野市飯沼家住宅主屋の軸組架構にみる本棟造の成立に関する一考察

摘要

本棟造は長野県にみられる特徴的な民家の形態であり、rnその分布や成立、屋敷構え、平面計画について多くの研究rnが行われてきた。太田は「本棟造りの成立」注1) のなかでrnその特徴を挙げており、中尾は「本棟造民家の分布と信濃rn小笠原氏支配地域の関連について」注2) で先に挙げた特徴rnを本棟造の定義とした上で、定義にそぐわないが形態のよrnく似た民家を本棟造系としてそれらの分布を示した。さらrnに、小林は「信州の棟造り・本棟造り・破風屋の比較研究」rnのなかで一般に本棟造と呼ばれる民家にも「その様式や形rn態・外観・構造・間取り・部屋名・細部の意匠なども違い、rn特有の地方色がある。」とし「これらのことを一口に「信rn州の本棟造り」として扱うには、少し詳細に見ようとしたrn場合に複雑過ぎて無理がある。」注3) と述べている。これrnらのことから、本棟造を詳細に扱うには、その地域の文化rnや所在する板葺、茅葺民家との関連を意識した上での考察rnが必要である。