日比谷図書文化館所蔵の樺太·台湾·旭川の火災保険特殊地図

摘要

The existence of the fire insurance maps for the area under the Japanese mandate before World War II had not been previously confirmed.However the fire insurance maps for Karafuto(Sakhalin),Taiwan and Asahikawa, Hokkaido,before World War II were newly discovered at the Chiyoda City's Hibiya Library & Museum.In addition,these over 380 maps were scanned and digitalized,to compare with various other similar maps in order to identify the characteristics of these fire insurance maps.These fire insurance maps contribute to our deep understanding of the urban history for these areas and cities.%本報告で取り上げている火災保険特殊地図は，都市史や都市計画等の分野の専門家でもその存在を十分に知らない稀少価値の高い史料である。筆者らは，日比谷図書文化館に樺太·台湾·旭川を対象としたこれらの地図が所蔵されていることを確認し，多くの時間をかけて収集して同時代の都市地図との比較分析を通してその位置づけや有用性を考察しており，都市史における貴重な史料を発掘した労作と思われる。本報告では，誌面上の制約等から，火災保険特殊地図の「地番図」の一部：が掲載されるにとどまっているが，ここからでは地図に記入されているとある建物の構造，階高，用途，消火栓の位置，道路幅員等の情報が判読出来なかったこと，またこれ以外にも「市街図」，「全図」, 「方面図」があるとされていることから，今後，この地図群の全体像の詳細な解説がなされると，史料としての特徴や有用性が更に明確に なると思われ，筆者らの研究の進展に期待したい。