農業用温室の地下水利用による夏季温熱環境改善効果に関する研究: 対照温室におけるトマト収量及び温 熱環境との比較検討を通じて

摘要

地下水を利用してトマト温室の環境調整を行うことによる収穫量向上効果について検証した報告である。3ヶ月間のトマト収穫量を対照 温室のそれと比較して，個数や良品比率が向上したとのデータを提示 している。温室内の温熱環境については，3ヶ月間の温湿度に加えて 作用温度を指標として適用し，比較結果を示している。作用温度の比 較によって，冷風供給による温室内表面温度の低下を確認している。 建築環境工学•設備工学分野の知見と技術を農業に応用するものであ り，たいへん興味深い。今後の展開として，温室温度と連動した自然 換気制御を含めた季節，時間帯，外界気象条件に応じた最適制御のあ り方や，設備や井戸のコストやランニングコスト，地下水利用による 環境影響の最小化，論文中にも記載されているような設備方式の検討 などを進められ，広くこの関連の技術が地域の農業に根付き活用され ることを期待するものである。%Air temperatures in agriculture greenhouses may become too high in summer season for cultivating some plants. So we investigated the effects on tomato plant yield of a groundwater cooling system for the inhibition of temperature rise under high temperature conditions in a tomato cultivation plastic house. The tests were carried out from June to August 2016, in the site of Ishikawa Prefectural Agricultural Experiment Station. The air temperature and OT (Operative Temperature) were reduced and a remarkable cooling effect was acquired with the groundwater cooling system. However, the subject remained about saturation deficit condition.