列車運行制御用情報ネッ卜ワークにおけるセキュリティの概要と課題

摘要

近年、情報通信技術を活用した新しい列車制御システム、信号システムが世界的に広まりつつある。国内では2011年にATACSが実用化されており、欧米ではETCS(欧州規格対応信号システム）やCBTC(無線式列車制御システム）の導入•展開が進んでいる。列車の運転保安に係る制御情報を伝送する際には、無線•有線を問わず、伝送過程で生じる障害事象によって安全性や安定性が損なわれないよう、適切に対策を講じる必要がある。本稿では、鉄道の保安伝送における「セキュリティ」の意味を整理したうえで、主に無線式列車制御システムを対象として、関連する国際規格を参照しながら、システムを構成する際に考慮すべき事項と対策の考え方を考察する。