第二次米中軍事衝突シナリオから見た艦艇残存性の意義①: 朝鮮戦争の教訓を踏まえて

摘要

中国の南シナ海における岩礁の埋め立てを巡る米国と中国との対立は激しさを増している。中国は南シナ海の領有権と海洋権益を守ると主張している。これに対し、米国は南シナ海の航空と航海の自由の権利は譲らないと主張している。軍事的に見ると、中国は増加する国防費を使って、軍事力の近代化を推進し、米国の西太平洋における影響力を排除するため、接近阻止戦略を強化している。現在の南シナ海の対立が第二次米中軍事衝突にまで発展するかは分からない。しかし、第一次米中軍事衝突である朝鲜戦争では、米国と中国は約3年間にわたって戦闘を繰り返してきた。この時の状況を見ると、圧倒的な核戦力と通常戦力を持ちながら米国は中国に勝てなかった。米軍が鴨綠江から38度線まで撃退され、休戦せざるを得なかった状況を見ると、中国が勝ったとさえいえる。また、人的損害を見ると、米軍を中心とした国連軍と中国軍•北朝鮮軍の人的損害はそんなに変わらない。旧日本軍の38式小銃と米軍が国府軍に貸与したM-1小銃程度の兵器しか持たない中国軍に、なぜ米軍は勝てなかったのであろうか。そのため、接近阻止戦略で弾道ミサイルや巡行ミサイル、更には近代化した艦艇、航空機、潜水艦を保有する中国に、米国は勝てるのであろうかとの疑問が湧いてくる。