TSH受容体抗体(TRAb)，甲状腺刺激阻害型抗体(TSBAb)

摘要

Basedow病の病因はTSHレセプ夕ーに対する刺激抗体と考えられている.TSHレセプターに対する抗体は刺激型抗体,抑制型抗体,不活性型(neutral)抗体の3種類が報告されている.TRAbはその測定方法として,TSHがTSHレセプターと結合するのをTRAbが阻害する活性をみるTSH binding inhibitory immunoglobulin(TBII)と，TRAbがセカンドメッセンジャーとして産生するc-AMPの量を指標とする甲状腺刺激抗体(TSAb)の2種類がある.TBIIは,検査試薬として開発された当初からTRAbとよばれていた.TSHレセプ夕ー杭体としてのTRAbと,測定法としてのTRAbが同じ名前でよばれているので混乱を招くことがある.TSBAbは,TRAb強陽性で甲状腺機能低下症を呈する症例が報告されたことで発見された.測定方法としては,TSHがTSHレセプターを刺激して産生されるc-AMPの量(TSAb)が,この抗体を添加することによりどの程度抑制されるかという方法で測定している.