心房細動治療においてなぜ脳梗塞と脳出血が低率なのか

摘要

1.新規経口市凝固薬はwarfarin と同等か，それ以上の脳卒中や全身塞栓症発症予防効果を示しつつも，脳内出血や頭蓋内出血を大きく減らすことが第III相試験（RE-LY,ROCKET AF,ARITOTLE）で示されている.2.新規経口抗凝固奏で脳内出血や頭蓋内出血がwarfarin 療法より少ない理由として，①脳内に組織因子が多く，第Ⅶ因子との複合体が形成されやすいため，凝固力スケードの初期反応が起こりやすいこと，②血中濃度にピークとトラフを有し，トラフでは出血時の生理的止血機構を阻害しにくいこと，③安全域が広いこと，④凝固力スケードにおける抑制ポイントが1カ所のタと少ないこ七があげられる.3.脳梗塞の既往が頭蓋内出血のリスクであることを考慮すると，頭蓋内出血が少ないプロフアイルは，脳梗塞の再発予防にきわめて望ましいと考えられる.