重症急性膵炎に対するnecrosectomy

摘要

重症急性膵炎は死亡率が高く，多臓器不全や感染性膵壊死が問題となる.壊死に陥った膵組織を摘除するnecrosectomyの術式は1974年に報告された.症例は20歳代後半男性の病理解剖例.腹痛で発症，2日後に増悪，アルコール多飲による壊死性膵炎との診断を受け，大学病院に転院.necrosectomyにて壊死膵組織を除去し，人工肛門造設•ドレナージ術を施行する.その後腸管穿孔による腹膜炎等も併発し.約1ヵ月の経過で死亡.開腹すると,壊死膵組織は膵頭部の一部を残しすベて摘出され，膵周囲から後腹膜腔にかけて著明な壊死性変化•炎症性変化を認めた.腹腔全体にも炎症は波及し，敗血症の所見として気管支肺炎•心筋微小膿瘍を認めた.全体として播種性血管内凝固症候群(DIC)•多臓器不全の様相を呈した.残念ながら救命できなかったが，急性膵炎の炎症の激しさを伝えるためにも報告が必要と考え,十数年前の35mmスライドから画像を起こした.