「第13回酸塩基平衡障害時の診療②」

摘要

今回はAG正常型代謝性ァシドーシス時のNH_4~+の排泄状態を評価する2つの方法，尿アニオンギヤップと尿浸透圧ギャップ，そしてAG増加型代謝性アシドーシス時にメタノールやエチレングリコールなどの毒性物 質蓄積の有無を評価する血清浸透圧ギャップについて解説する.尿AGは以下の式で示され.この値がマイナスであれば腎臓が酸血症に適切に応答し尿中NH_4~+排泄量を増加 していると判断できる. 尿AG=尿（Na + K)_尿CI主たる尿中の陽イオンはNa~+, K~+.そしてNH_4~+である（図1).腎臓が正常である下痢などによるAG正常 型アシドーシスの際には，酸分泌が増加するためNH_4~+の排泄が増加する.それに伴ってCI~-の排泄も増加する ため尿AGは陰性となる.一方.酸排泄に障害のある遠位型RTA, 4型RTA,腎不全，そして一部の近位型 RTAではたとえアシドーシスがあっても尿AGは陽性のままとなる.ただし.尿中にCI~-以外のケト酸.馬尿 酸（トルェン中毒).薬物などの陰イオンが排泄されている場合には.NH_4~+の排泄が増加していてもCI~-の排泄 増加は少なくなり.尿AGは正となるので注意が必要である.