バランを省略した携帯端末上のダイポールアンテナの特性

摘要

携帯端末上のアンテナにおいて，手による性能劣化を低減する手段としてダイポールアンテナを用いる検討を行う．携帯端末上のダイポールアンテナを不平衡給電したモデルに対し，きょう体の長さ，ダイポールの長さを変化させたシミュレーションを行い，ダイポールとして動作するための条件を明らかにする．ダイポールとしての動作を表す指標として，全消費電力に対する不平衡モードの消費電力の比率R_uを用いる．R_uはきょう体の長さに対して周期的に変動すること，及びダイポールの長さがλ／2からずれると急激にRuが増加し，不平衡モードの電力が増加することを示す．ダイポールアンテナに対する不平衡モードのインピーダンスと平衡モードのインピーダンスについて解析を行った結果，上記現象はそれらのコンダクタンスの大小により説明できることを示す．更に，R_uが小さいという条件下では人体の手による損失が低減されることを示す．本アンテナに対する測定を行い，計算値と比較することで計算の妥当性を確認する．以上の検討は2.045GHzにて行う．