TCP性能向上のためのマルチホップコグニティブネットワーク向けMACプロトコルの提案

摘要

近年の周波数資源不足に対する対策として，コグニティブ無線やモバイルアドホックネットワーク（MANET）などの技術が期待されている．高信頼性通信を限られた資源で実現するために，これらの技術を用いた高性能なTCP通信の実硯が求められている．しかし，遅延の増大?変動が激しくなるこれらの環境では，TCPはふくそうを過剰検出して送信データ量を下げすぎてしまうため，性能が大幅に劣化することが知られている．一方で，TCPはインターネット通信などに広く用いられており，その普及率の高さからTCP自体の動作を変更することは現実的ではないとされている．そこで本論文では，コグニティブ無線とMANETの両方を併用した環境において，既存TCPの動作を変更せずに高性能なTCP通信を実現するために，新たなMAC層プロトコルを提案する．提案手法は既存のMACプロトコルであるCSMA/CAをもとに2点の動作改善を施すことで，プライマリユーザ性能の低下を抑えつつセカンダリTCP性能を大幅に向上させることができる，計算機上で，プライマリユーザと同帯域を共用するセカンダリMANETのTCP通信を模擬するシミュレーションを行い，提案手法が性能改善を果たすことを確かめた．