本論文では,連続時間系に適用可能な安定性変換に基づく新しいカオス制御法を提案する.安定性変換法はカオスを呈する力学系の未知の不安定周期軌道を検出する手法として提案された.これまでに我々は,安定性変換法の概念を発展させ,カオスァトラクタに内在する未知の不安定周期軌道を安定化することができる制御系を提案し,考察を行ってきた.しかしながら,これまでは主に一次元カオス写像を制御対象とした議論であり,高次元系や連続時間系を制御対象とした考察は不十分である.そこで,本研究では高次元の連続時間系に適用可能な安定性変換に基づくカオス制御法を提案する.本手法はInstantaneous State Setting法を利用した制御器によつて実現される.この制御によって,高次元の連続時間系の呈する未知の不安定周期軌道を安定化できる.本論文ではまず高次元カオス写像に対する有効性を検証するために,二次元カオス写像の不安定固定点を制御対象として制御手法とその安定性について厳密に考察を行う.次に,自律系の四次元カオス発生系の未知の不安定周期軌道の安定化を実現し,連続時間系に対する提案法の有効性を示す.
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