トランぺットの吹鳴における唇のアパチユアの大きさが音高に与える影響

摘要

本論文は，金管楽器において吹鳴圧力に加え唇のアパチユアを変化させたときの吹鳴音高を計測することで，吹鳴圧力とアパチユアが吹鳴音の音高に与える影響を明らかにすることを目的とする.具体的にはアンブシュア可変機構を有する人工吹鳴装置を用いて，吹鳴圧力とアパチユアの大きさを制御しながら吹鳴音の計測を行った.結果として吹鳴圧力とアパチユアの相互関係により励起される吹鳴音の周波数が決定されることを確認した.また，アパチユアの大きさを徐々に大きくしていく場合と小さくしていく場合では吹鳴音の周波数が遷移するアパチユアの大きさが異なるという結果が得られた.更に，アパチユアを小さくすれば吹鳴音の周波数が高くなるという奏者の見解とは逆に，人工吹鳴においてアパチユアを大きくしたときに吹鳴音の周波数が高くなるという興味深い結果が得られた.