自律分散的に形成されるクラスタ構造の漸近安定性を保証するための自律調整機構

摘要

Autonomous decentralized mechanisms of structure formation are suitable way to create cluster structure in ad hoc networks. In our previous research, we have proposed such mechanism that is based on balance between drift and diffusion effect, using back-diffusion based drift. One of the most important issue in our proposal is to guarantee the asymptotic stability of cluster structure. We attack this problem by introducing self-adjustment mechanism of diffusion strength in clustering. Simulation results show our proposal is effective.%大規模なアドホックネットワークでは，ネットワークを仮想的に分割し制御を行う階層型ルーティングが有効である.階層化構造を生み出すためにはネットワーク上のノードによるクラスタ構造を形成する必要があり，自律分散的クラスタリング技術が必要となる.著者らがこれまで検討してきた自律分散的クラスタリング技術は，ネットワーク環境の状態に適応したクラスタ構造を自律的に生成できるという利点があるが，将来にわたって定められた尺度に基づくクラスタ構造の維持が難しい.アドホックネットワークでは，ユーザの移動によりクラスタの離合集散が頻繁に起こるため，統一した尺度に基づくクラスタ構造を維持することが重要な課題となる.本研究ではこのことをクラスタ構造の漸近安定性と呼ぶ.本稿では，クラスタ構造に漸近安定性を保証する技術として，クラスタ構造を決定付ける分布の形状を自律的に調整する機構を提案し，その効果を検証する.