熱利用、1兆kwhのポテンシャルが生む圧倒的エネルギー効率再エネ熱は地域のブランド化にも寄与

摘要

「熱利用」は、重油などの化石燃料 や薪などの燃焼によって得られる熱、 また太陽熱など自然界に熱そのものと して存在する熱、さらに工場の生産ェ 程や車のエンジンから生じる排熱を、 加温や空調などに利用すること。重油 などを燃料としたボイラで蒸気を発生 させタービン発電機を駆動したり、排 熱と低沸点媒体の間で熱交換するバイ ナリー発電などとは異なり、熱を電力 に変換せず熱の姿のまま利用する。 熱利用をピックアップするのは、熱 利用こそがエネルギーを有効活用して いる取り組みの好例だから。化石燃料 の燃焼熱ゃ排熱エネルギーを電気に変 換する際は、一定のロスが発生する。 一方で熱利用は、一部で熱交換などを 行い温度が変化する場合もあるが、熱 エネルギーをそのまま熱の姿で空調や 加熱源などに使う。東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、さいたま巿、千葉 巿、横浜巿、川崎巿、相模原巿で構成 される九都県巿首脳会議では、電気を 火力発電所で作る場合に発生する排熱 エネルギーの多くは有効利用されず、一次エネルギーの6割程度が使用され ていないことになるとし、給湯や暖房 など比較的低温で利用される熱は太陽 熱や地中熱などの再生可能エネルギー の熱で賄う「熱は熱で」といった考え 方の普及啓発を行っている。さらに新 エネルギー•産業技術総合開発機構 (N E D 0)では、現在一次エネルギー の大半は有効活用できておらず、年 間1兆kWhにものぼる未利用熱ェネル ギーの大部分が排熱として廃棄されて いると指摘。蓄熱ゃヒートポンプ、ま た排熱の電力への変換技術なども含め 未利用熱の有効活用に関する各種研究 プロジェクトを手掛けている。