インテリジェントシミュレータの構築

摘要

海上技術安全研究所では、1983年度から5年計画で開始された「高信頼度知能化船の開発」の研究以来、操船シミュレータを使用した高度な自動化•省力化を目指した研究を行っており、その時々の技術と研究ニーズに対応してシミュレータのバージョンアップを進めてきた。そして、2006年度に「操船リスクシミュレータ」と呼ばれる現在のシミュレータが構築された。操船シミュレータは、他の機関では主に教育訓練に使用される場合が多いが、当所では主に、海難事故の再現による事故解析と、高速船等の新船型や一名当直支援システム等の新しいシステムを導入する際の、リスクの評価や必要な支援技術の研究開発を目的として使用されてきた。こうしたシステムの評価は、評価者の経験に基づく主観的評価や、当該システムの運用結果に基づく客観的評価に負うところが多く、その意味で操船シミュレータは重要な役割を担う。