プラスチック添加用防曇剤の市場動向

摘要

プラスチックの表面は撥水性をもっており，表面が暴りやすくなる。食品包装用フィルムでは，表面が暴ることによって内容物が見えなくなったり，付着した水滴により変色や腐敗を招いたりする問題が発生する。一方，農業用のハウスやアーチパイプ，トンネルなどに使われる農業用フィルムでも，ハウスなどの内外の温度差によって生じる水滴で農作物の腐敗が進みやすい。そのため，食品包装用フィルムや農業用フィルムでは防暴剤が使用され，製品使用時に外気面，内面（気温，水滴）における曇りを防止している。防暴剤はフィルム•シートの生産時に練り込み（直接添加），またはコーティング処理(塗布）されて用いられているが，食品包装用フィルムでは一般に練り込み型が採用されている。一方，主に農業用フィルムで採用されているコーティング処理による方法は，防暴剤を水やアルコールなどの溶媒に溶かし，その溶液をフィルム表面にコーティングする。防暴剤は-価または多価アルコールをエステル化反応させて脱水した後，固めて粉碎して製造される。最終製品の形態には粉体と液体があるが，粉体状の製品の出荷のほうが多くなつている。食品包装用途における防曇暴剤には，食品添加物公定書に従うソルビタン脂肪酸エステル系を用いた食添グレードが多く使用されている。また，食品包装用途では厚生労働省の指導による自主基準として，ポリオレフインなど衛生協議会，塩ビ食品衛生協議会，塩化ビニリデン衛生協議会のいわゆる三衛協が作成したポジテイブリストに記載された防曇剤が主に使用されている。