土木分野（鉄道）における摩擦杭

摘要

明治時代中期に全国各地で幹線鉄道建設が盛んに行な われた頃は，近代土木技術も未発達で，基礎は一部の例 外を除き直接基礎か木杭により地盤強化された基礎，木 杭基礎などであったと思われる。構造物築造後当座の間， 沈下・傾斜などをしなければ，基礎としての機能は発揮 されたと考えられたであろう。杭の打設機の能力も限ら れていたので，当初のものは杭長も短く支持層が浅くな い限り摩擦杭となっていたであろう。したがって，「摩 擦杭」として特別扱いされていたようには見えない。明 治30年代に入り新橋～上野・お茶の水間の市街線高架橋 の建設には，落下高さが数メートルを超えるモンケンに ょる木杭の打設も行なわれるようになり，長さ16m程度 の支持杭（不完全支持杭？）も施工された。