建築における摩擦杭の歴史と将来展望

摘要

摩擦杭は，大型施工機械の出現によって可能になった 長大な支持杭が多用される前には，長い間最も多く使わ れていた杭基礎である。杭を必要とする地盤に大規模建 築物が計画されると，従来の摩擦杭に使われていた施工 法を用いて，可能な限り長い杭を施工するようになった。 その後，施工機械の開発によって十分に深い地盤に長大 な杭が施工できるようになったが，ちょうどその当時か ら地盤沈下による負の摩擦力の問題が発生し，再び摩擦 杭が脚光を浴びるようになった。今から30年ほど前であ る。その後，摩擦杭は施工実績を伸ばして多くの建物に 利用されているのであろうか？本稿は，近代施工技術 の発達しはじめたころから現在に至るまで，建築物に使 われてきた摩擦杭の歴史を振返り，今後の摩擦杭活用の 可能性について考えてみたものである。