泥炭性軟弱地盤の拡幅盛土における浮き型式地盤改良の設計•施工事例

摘要

『砕石マット併用低改良率固結工法』による試験施工を実施した結果,周辺地盤の変形や砕石マットの改良効果について下記の知見を得た。①改良体と未改良地盤が複合地盤として挙動すると仮定して,改良体下部に存在する軟弱層の沈下量を既往の設計手法で試算した結果,従来のジオテキスタイルを併用した深層混合処理工法と同様に,『砕石マット併用低改良率固結工法』でも沈下検討が有効であることが分かった。②盛土の構築に伴う改良体,改良体背面地盤および未改良地盤は,いずれも曲げ変形モードから倒れ込むような挙動で概ね同じ変形量であった。また,改良地盤と比較して未改良地盤に顕著な側方流動は確認されなかったことから,改良体と未改良地盤は一体とした挙動を示すことが分かった。③砕石マットで使用されたジオテキスタイルのひずみは,3次盛土構築後も未改良地盤上で増加する傾向であったが,その増加はクリープによるものと思われる。今回の試験施工では,砕石マットはある程度剛性を有する構造物として,改良体間の不同沈下抑制に寄与したと考えられる。今後は,試験施工を忠実に再現した解析モデルにより,改良体と未改良地盤の不同沈下量が許容値内に低減できる盛土高,改良率,砕石マット厚などの関係を弾塑性二次元FEM解析で検討し,『砕石マット併用低改良率固結工法』の設計手法確立に努めたい。