拡底径φ4.8mの大口径場所打ちコンクリート拡底杭の施工事例

摘要

場所打ちコンクリート杭は，建築分野で先端部を拡大した拡底杭が約半数使われている。拡底径を大きくすることで，杭軸部径を細くすることが可能となり，産業廃棄物およびコンクリート量を減少でき，高い支持力性能を得ることができる。一方，スライム処理やコンクリート打設など，品質管理はより一層慎重な扱いが必要であることは明らかである。本工法の施工指針では，軸部径に対して有効径が2倍を超える場合は，拡底掘削完了後，ただちにポンプリフトなどによる安定液置換を行うとしている。これは，孔内の安定液中のスライムの要因となる浮遊物が沈殿する前に，良質な安定液と入れ替えてスライムの要因をあらかじめ除去する方法である。また，評定実験時は他工法では不可能とされていた軸部径φ2.0m，拡底径φ4.4mの超巨大実物杭を地上へ掘り起こす試験を行い，杭形状の健全性はもとより，マスコンクリートへの影響がないことなど細部のコンクリートの品質まで確認している。巨大化ばかりが注目される場所打ち拡底杭であるが，大口径杭の施工はより高度な品質管理により施工しなければならないと考える。