東京都における事前復興の取組み: 連携と協働による都市復興の準備

摘要

東京は，世界経済の主要都市として一時も活動の寸断 が許されない。政府の地震予知連絡会の報告によると， 東京では首都直下を震源とする巨大地震が30年以内に 70%の確率で発生するとされている。世界から信頼される都市であり続けるためには，地震リスクが大きくても 被害を軽減し，災害への強靭さを提示することが必須で ある。東京では，木造住宅密集地域が都心を取り囲むよ うに存在し，大規模地震時には建物の倒壊や延焼による 甚大な被害が想定される。被害を少しでも軽減するため， 都では木造住宅の不燃化や建物の耐震化など「防災都市 づくり」を計画的に進めている。そこでは，震災時に 甚大な被害が想定される地域を整備地域として指定し取り組んでいるが，その範囲は約6，900haに及び，高齢化 による合意形成の難航や行政職員のマンパワー不足など から，すべての対策の終了前に地震が発生する可能性も ある。さらに，被害を受けた地域の復興には相当の時間 を要することが容易に想像される。