広幅員空間における開口幅が開口部の流動性状に与える影響避難群集の歩行特性と空間形状の関係

摘要

現状、建築物の設計段階における火災時の避難安全性評価では、 新•建築防災計画指針（以降、指針法）と避難安全検証法（以降、 検証法）に基づき避難計算が実施される。一方で、建築物等、施設 の避難安全性評価において群集歩行シミュレーションなどの解析手 法が発展、実用化されており、混雑状況ならびに群集流動の経時変 化を把握することが可能となっている。シミュレーションによる避 難安全性の評価は検証法および東京消防庁の優良防火対象物表示制 度において取り入れられており、解析結果の妥当性を検証するデー タの重要性は高いと言える。歩行者および空間の条件が統制された 実験による結果は、再現内容を限定した現状のシミュレーションと の比較において有用である。また、空間形状や歩行者属性などの状 況が限定された実験はシミュレーションにおいても再現が容易とな る可能性が高いほか、流動係数、歩行速度、密度、軌跡、滞留時の 群集形状といった結果の差異に影響を与える要素も特定しやすい。 このことから効率的な妥当性の検証と精度向上が可能になる。この 場合、シミュレーション同士の性能比較も容易となる。%This paper focuses on the characteristics of the crowd flow during passing through an opening. Human subject experiments were conducted on the crowd flow of evacuees passing through an opening in wide space. 96 non-handicapped subjects, all were asked to walk in the wide space in which the widths of openings and the distances between the opening and the start position of the subject crowd were different. As a result of this study, the each transition of the specific flow [person/m/s], walking speed [m/s] and density [person/m2], and the walking trajectories were measured. In addition, the values of above three items in steady state and the relationships between them were elucidated.