超高層ビルの安全性と鏟済性向上に寄与する超大入熱溶接用高強度鋼板

摘要

地震の多い我が国では、高層建築物の麵構造として、比 較的軽量で高い強度が確保できる鉄骨造が主流となってい る。その中でも都市部を中心とした再開発プロジェクトなど の超高層建築物では、大スパン化や商業スペースとオフィ スおよびホテルの重層化などの多様な設計に応えるため、高 強度の鉄骨用鋼材の必要性が高まっている。鋼材の高強度化 は、鋼材重量の低減、設計自由度の拡大、溶接施工コストの 削減などにより、超高層ビルの経済性向上に貢献することが 期待されるものの、一般に鋼材の高強度とともに溶接部の靱 性は低下するため、高強度化と優れた溶接部靱性とを両立さ せる技術が求められていた。さらに建築用鋼材では、大地震 時の塑性変形能を確保するために低い降伏比（降伏強度/引 張強度）が要求されることも、高強度化と溶接部靭性両立の ハードルを高める一因となる。