鉄鋼冶金研究における私の守破離

摘要

本稿の執筆依頼を受けたものの、なかなか筆が進まない。2012年から始まった「躍動」は、すでに80名以上の方が執筆されており、そのいずれも素晴らしい研究成果や体験を収録された貴著ばかりである。このような評判の企画を私が担当できるのか、という不安を感じたのが第一の理由である。加えて、「躍動」では、先輩研究者·技術者からのエールとして、関連分野における著名な先生のコメントが同時に掲載されることを特徴としている。自分の研究を第三者に評価されることはもとより、通信簿の公開とも言うべき、このようなシステムを恥ずかしく思ったのが第二の理由である。しかしながら、執筆の機会をいただいた以上、私なりに自身の研究生活を振り返るとともに、今後の意気込みを記そうと思い、筆を進めることにした。