下水道における臭気および腐食対策

摘要

ご存知の方も多いと思うが、下水道では微生物由来 で硫化水素が発生するため、その臭気に対する対策が 必要となる。さらには、硫黄酸化細菌が硫化水素を取 り込んで好気的に硫酸を代謝するので、この硫酸に対 する腐食対策も必要となる。これら硫化水素に対する 対策は、そもそもの硫化水素発生を低減するか、生成 した水中の硫化水素を気中に蒸散させないか、分解もしくは大気中へ拡散(換気）して、濃度を0もしくは十分低いレベルに保てばよい。といっても場合によって は硫化水素濃度が高くなる場合もあり、コンクリート 構造物への腐食対策が行われてきたところである。コ ンクリート構造物は、強度、耐久性の高い構造物であ るが、硫酸に対してアルカリ性のコンクリートが反応 し、二水石膏などの化合物を形成して脆弱になる。さ らに、内部の鉄筋がアル力リ性の場合には不動態を形成するために安定なのだが、硫酸によるpH低下に 伴って腐食を起こす。微生物由来とはいえ条件によっ てはかなり低いpHにまでなるので、十分な防食が求 められているのである。