迅速測図を用いた明治初期武蔵野台地の土地利用定量化と立地分析: 五日市道周辺を対象地として

摘要

武蔵野台地の開発は江戸初期の新田開発を端緒としている。その典型的な地割は街道や水路の中心線より集落→畑→林の順で整列し,畑作に必要な堆肥を林地から供給する事で各農家が自給自足の生活を可能にするように区画された(菊地,1956)。菊地は江戸中期以降,下肥使用圏内における作付面積あたりの生産力向上を証明したが,下肥使用圏の境界線や林地面積の変化には言及していない(同上)。本研究では迅速測図を用いて,武蔵野台地南部地域の土地利用面積を定量化,地形的変化が比較的少ない五日市道を中心線に周辺東西30km,南北2kmを対象地として空間分析を行った。