船舶用あじろ鎧装電線塗装乾燥ラインの省エネと品質維持の両立を目指した IH 加熱コイルの導入試験

摘要

ヒエン電工株式会社長田野工場では、過酷な環境下で使用される船舶用電線の耐久性•防鎬カ向上を目的として、シ一ス被覆上に鉄のメッシュ編組（以下、あじろ鎧装という）をして、塗装し乾燥を行つている。乾燥工程は従来より熱風で行っており、熱源には電気ヒーターを使用してきた。しかし、乾燥工程における電気ヒーターの消費電力量が工場全体の消費電力量の大半を占めており、課題となっていた。乾燥工程の省エネ化が求められる一方、塗装乾燥品質の維持には、季節変動に伴うあじろ鎧装表面溫度の変化や電線径、電線加工速度に応じた精密な熱風溫度調節が必要であり、電気ヒ一タ一は溫度制御性に優れていた。そこで、あじろ鎧装の自己発熱により加熱するためエネルギ一効率が高く、インバータ出力変更による温度制御が容易なIH加熱コイルの導入可能性を調査するため、試験を実施した。結果、試験条件における最適なインバ一タ出力を見極め、省エネと乾燥品質維持の両立を実現した。また、塗装前にもIH加熱コイルであじろ鎧装電線を予熱することで、塗料塗布状態も向上した。本稿では、その試験結果について報告する。