ダムの洗掘補修へのレジンモルタルの適用性に関する研究: 洗掘補修の効率化に向けて

摘要

本研究では，REM被覆および耐摩耗性をさらに向上するために，REM被覆に加えてステンレス鋼板で被覆した高強度コンクリートを対象に，落下衝撃試験を実施してその耐衝撃性向上効果について検討した。得られた主要な知見は以下のとおりである。(1)REMで高強度コンクリートを被覆することによって最大衝撃力が70%程度に低減し，衝撃力を吸収する。一方，鋼板+REMのケースでは.高強度コンクリートよりも1割程度高い値を示すが，REMの厚さが厚くなると衝撃力を吸収する効果が表れる。(2)REMで被覆した高強度コンクリートの破壊時の重錘エネルギーは，REMの厚み40～80mmにおいて，厚みに比例して増加した。最大重錘エネルギーは，高強度コンクリートに対し，REM厚40mmでは約4倍，60mmでは5倍程度,80mmでは6倍程度であった。(3)REMに加えてステンレス鋼板(厚さ19mm)で被覆した高強度コンクリートは，今回使用した試験装置能力(最大重錘エネルギー8,400J)では,REM厚が40mm以上では破壊しなかった。破壊したREM厚20mmのケースでも.重錘エネルギーと最大衝撃力は.高強度コンクリートの6倍程度であり，破壊までの耐衝撃性能は高強度コンクリートよりも優れている。