水素利用（燃料電池自動車）: 燃料電池自動車の量産化に向けた技術開発

摘要

近年,地球温暖化や大気汚染といった環境問題や,エネルギー問題の深刻化により,消費時にCO_2を発生させないこと,また特定の国,地域に偏在せず多様なエネルギー源から製造できる水素に対し,次世代の燃料としての注目が高まっている。燃料電池自動車（FCV)は,①走行中に排出するのは水だけ,②既存の内燃機関自動車同等の航続距離·充填時間,③モータならではの走りのよさ·静粛性を兼ね備えており,「究極のエコカー」としての実用化が強く望まれている。当社では水素を燃料とする燃料電池（FC)システムの開発を1992年にスタートし,2002年12月には世界に先駆けてFCVの限定リースを開始した。以降改良を重ね,2008年に導入したトヨタFCHV-advでは,主要技術課題であった航続距離と氷点下始動性の解決に目処を付け,FCVの代替エネルギー車としてのポテンシャルの高さを実証してきた。